専門学校データベース学費の横に、出典と確認日。

専門学校の就職率は分母で変わる。卒業者か、就職希望者か

イメージ画像(AI生成)

就職率は、分母が卒業者か就職希望者かで、同じ年でも約15ポイント違って見えます。東京都の調査では、卒業者に占める就職者が80.4%、就職希望者に対する就職率が95.4%でした。数字の横に書かれた分母と年度を、先に読みます。

同じ調査の中に、80.4%と95.4%が並んでいる

東京都専修学校各種学校協会は、2025年3月(令和7年3月)の卒業生について、都内の私立専門学校に就職状況を尋ねました。262校が答えています。昼間部の卒業者のうち、就職した人は80.4%、進学した人は8.7%、その他は9.8%です。調査の本文は、この80.4%を「就職率」と呼んでいます。

次の段落には、別の数字が出てきます。「就職希望者に対する就職率」は昼間部で95.4%です。分母が、卒業者から就職希望者に替わっています。

専門学校の就職率に使われる分母
調査対象分母数字
東京都専修学校各種学校協会(2025年3月卒・昼間部)都内の私立専門学校卒業者80.4%
同上同上就職希望者95.4%
文部科学省・厚生労働省の就職状況調査(2026年4月1日現在)専修学校(専門課程)20校・560人就職希望者98.6%
学校基本調査(2022年3月卒。東京都専修学校各種学校協会のQ&Aが紹介)全国の専門学校卒業者78.8%

就職しない人は、就職希望者の分母に入らない

文部科学省の就職状況調査は、「就職率とは、就職希望者に対する現時点での就職者の割合」と定義しています。専修学校(専門課程)の就職希望率は88.2%で、就職率は98.6%でした。この調査は抽出で、対象は20校の560人です。

東京都の調査は、就職希望者を「卒業年度中に就職活動を行い、卒業後速やかに就職することを希望する者」と定めています。進学、自営業、留年、資格取得を希望する人は、分母にも分子にも入りません。就職率が高く出やすいのは、このためです。

学校の公表値は、分母の置き方が揃っていない

2校は、人数まで公式サイトに載せています。

人数から分母をそろえて計算した結果(確認日 2026年10月12日・出典:各校の公式サイト)
学校公表された就職率公表された人数就職希望者を分母にすると卒業生を分母にすると
東北電子専門学校(令和8年3月卒)99.0%卒業生460名、就職希望者408名、就職者404名。留学生は除く。令和8年4月30日現在99.0%87.8%
船橋情報ビジネス専門学校(2025年度卒)96.2%卒業生340名、就職希望者329名、就職者327名99.4%96.2%

公表された率だけを見ると、東北電子専門学校が99.0%、船橋情報ビジネス専門学校が96.2%で、前者が上です。計算すると、就職希望者を分母にした場合は99.0%と99.4%で、ほぼ並びます。卒業生を分母にすると87.8%と96.2%になり、順位は逆です。東北電子は就職者÷就職希望者、船橋は就職者÷卒業生の率を載せています。どちらも人数を示しているので、読む側が分母をそろえられます。

分母を言葉で書いている学校もあります。情報科学専門学校は、就職率97.4%に「2025年3月卒業生実績 就職者/就職希望者」と添えています。服部栄養専門学校は、2026年3月卒の就職率100%について「就職希望者に対する就職率です」と注記しています。広島工業大学専門学校は、2025年度の就職率100%を「就職希望者に対する内定率」と説明しています。

内定の速報もあります。北海道情報専門学校は、「2026年度就職内定率84.5%(2026年9月13日現在)」を載せています。2026年度の卒業は2027年3月なので、最終の就職率ではありません。

就職先が専攻に関わる仕事かは、別の数字で見る

就職率が同じでも、就職先は同じとは限りません。東京都の調査には、就職した人が専攻に関わる仕事に就いた割合として、「関連職種への就職率」があります。昼間部の全体では91.8%でした。分野で見ると、開きが出ます。

分野別の就職率と関連職種への就職率(2025年3月卒・昼間部・都内の私立専門学校)
分野就職希望者に対する就職率関連職種への就職率
看護99.4%96.8%
理容、美容98.2%97.3%
情報処理・IT93.8%95.1%
美術、デザイン、写真89.8%63.7%

就職率の数字は、専攻に関わる仕事に就いた割合と、あわせて読みます。

文部科学省の委託事業の手引きも、就職状況は、卒業者数、就職希望者数、関連分野への就職者数を並べ、対象年度と関連分野の定義を示して公開するよう求めています。高校の教員への調査では、就職率の母数が入学生なのか卒業生なのか分からない、という声が挙がっています。

数字の横で確かめる5点

  • 分母:卒業者か、就職希望者か。人数が書いてあるか
  • 年度と時点:何年3月の卒業生か。何月何日現在か
  • 内定か就職決定か:卒業前の速報は、内定率のことが多い
  • 範囲:学校全体か、学科別か。昼間部だけか
  • 留学生や進学者の扱い:分母から除いているか

学校に聞くなら、人数で答えてもらいます。聞き方は冬のオープンキャンパスで聞くことにまとめました。

出典と確認日

専門学校データベースで確かめる

専門学校データベースの学校ページでは、公式サイトが公表した就職率を、年度と出典つきで載せています。分母の記載がない学校は、リンク先で確かめてください。学費と資格で探すから、気になる分野の学校を絞り込めます。就職の数字は、医療・看護・リハビリや福祉・保育など、資格と結びつく分野ページで見比べやすくなります。

参考にした資料

  • 公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「令和7年3月 専門課程卒業者の就職状況調査」(調査3) リンク:tsk.or.jp
  • 文部科学省「令和7年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)」 リンク:mext.go.jp
  • 文部科学省・厚生労働省「令和7年度大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業者の就職状況調査(4月1日現在)について」 リンク:mext.go.jp
  • 公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「専修学校・専門学校・各種学校Q&A」 リンク:tsk.or.jp
  • 文部科学省委託事業「情報公開を活かした専修学校の質保証・向上に向けて 専修学校における情報公開実践の手引き」(2017年3月) リンク:mext.go.jp

この記事の数字は、記事に書いた出典の公表値です。変わることがあるため、出願前に最新の情報を確認してください。誤りはお知らせください。

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