「ベビーマッサージ」の効果について、論文から考察

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しつけと称した体罰による不幸なニュースが後を絶ちません。
全国の児童相談所における児童虐待の相談件数は増加し続け、平成29年度は過去最多となりました。
虐待者は実母が最も多いのが特徴です。

背景には、母親が社会的孤立により追いつめられる育児状況が、虐待という社会問題を招く要因だと考えれています。

そうした中、育児支援のひとつとして「ベビーマッサージ」は活用されてきました
今回は、ベビーマッサージの効果について、調査データをもとに紹介いたします。

産後うつ病患者のベビーマッサージの有用性に関する検討

出産後、10~15%の女性がかかるといわれている「産後うつ病」

分娩後の数週間~数カ月後まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態のことをいいます。
お母さんとお子さんの発達に、長期にわたって影響を与えるとされています。

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産後うつ病の主な症状としては以下があげられます。

<産後うつ病の主な症状>

  • 赤ちゃんを1人で安全に育てられるかとても不安
  • 赤ちゃんを傷つけてしまうのではないかと恐がる
  • 赤ちゃんが重大な病気にかかっていると思い込む
  • 赤ちゃんを可愛いと思えない
  • 母親として失格ではないかと自分を責める
  • 家事や育児を何から手をつけてよいか分からない
  • 眠れない
  • 食欲がない
  • 疲労困憊して何もできない など

参考文献:産後うつ病患者のベビーマッサージの有用性に関する検討(イギリスでの経験から)/心身医学 2000; 40(Suppl.): 200より

産後うつ病が及ぼす赤ちゃんへの影響

産褥(さんじょく)期は母子関係において最も大事な時期。
この時期にお母さんがうつ状態だと、母子関係や赤ちゃんの成長・発達に長期に渡って悪い影響を与えます

のちに自閉症や行動障害、情緒障害を引き起こすこともあるといわれています。

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また、夫婦関係や家族関係にも悪影響を及ぼし、悪循環的にうつ状態も遷延する可能性があります。

そのため、産後うつ病においては、早期発見、早期治療が必要とされていますが、授乳中のお母さんは抗うつ薬の服用に抵抗を感じることが多く、十分な治療が行えないことが多いです。

「ベビーマッサージ」には親子関係を深める作用が認められている

お母さんと赤ちゃんにとって安全で、かつ受け入れられやすい治療法の1つとして、「ベビーマッサージ」が奨励されています

英国ロンドンでの研究では、産後うつ病のお母さんにベビーマッサージを奨励することによって、赤ちゃんとのコミュニケーション能力が高まり、お母さんのうつが軽くなり、母子関係が深まったという調査結果がありました。

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調査の概要としては、下記の通りです。

  • うつ病と判定された34名の母親とその子どもを2つのグループに分類
  • マッサージグループ(ベビーマッサージとサポートグループへの参加)とコントロールグループ(サポートグループへの参加のみ)に分けて、週1回の治療を実施
  • 5週間目に抑うつスコアとビデオテープによる母子関係の観察を行い、効果判定を行う

結果は、両グループともにうつの改善が見られました。
また、母子関係の深まりについては、マッサージグループでのみ認められました。

これにより、ベビーマッサージは抑うつ効果とともに、母子関係を深める作用のあることが示唆されました。

参考文献:産後うつ病患者のベビーマッサージの有用性に関する検討(イギリスでの経験から)/心身医学 2000; 40(Suppl.): 200より

「ベビーマッサージ」はお母さんにこそ効果的

「ベビーマッサージ」の主な効果として以下があげられます。

  • 赤ちゃんの感情やからだの成長を促進する
  • 寝つきが良くなる
  • 機嫌が安定して泣く時間が短くなる
  • 便秘や歯が生えるときの痛みや、予防接種のときの痛みを和らげる など

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一方、ベビーマッサージは、赤ちゃんだけでなく、お母さんの健康にもよいことが分かっています。

お母さんと赤ちゃんとがスキンシップをとることで接し方全般に自信が持て、赤ちゃんを精神的に安定させることでお母さん自身もリラックスできるようになります。

お母さんが育児体験に満足できれば、それが赤ちゃんの満足になり、感情的な結びつきが強くなります

「ベビーマッサージ」でお母さんは癒される

平成20年5月~平成22年6月にかけて行われた地域の児童館、NPO法人育児支援団体でのベビーマッサージ教室受講者154名を対象にした調査では、ほとんどのお母さんがベビーマッサージを行うことで赤ちゃんに癒されると認識した、との結果がでました。

知識だけでなく、喜びが実感できる経験型の「ベビーマッサージ」は育児支援においては有用だと考察されています。

参考文献:「B-2 ベビーマッサージを用いた育児支援に関する考察」/第20回日本健康医学会総会抄録集より)

まとめ

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ベビーマッサージは様々な機関で母子の愛着形成と育児ストレスに対する有効性が検討されており、その結果として母子ともに様々な報告がされています。

<お母さんへの影響>

  • 赤ちゃんに対する愛着が増し、肯定的な感情が増強され、否定的な感情が改善する
  • お母さんの情緒が安定しストレスが低下する
  • 子育てに自信がつく
  • 子どもの反応を捉えやすくなる

<お子さんへの影響>

  • 緊張が緩和してストレスが低下する
  • 子どもの発達を促進し、母親への関わりを増加させる

ベビーマッサージは育児支援のサポートとして最高のツールです。
すべてのお母さん、お父さんが参加できるベビーマッサージをやってみませんか。

執筆者 :YMCスタッフ
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