赤ちゃんの体を適度にもみほぐしてあげるベビーマッサージ。ベビーマッサージには様々な効能があり、その一つに、赤ちゃんの便秘の解消があります。
今回は、赤ちゃんの便秘を解消するベビーマッサージのやり方をYMCメディカルトレーナーズスクールのベビーマッサージ講師の遠藤洋子先生に伺いました。
遠藤洋子(えんどうようこ)
YMCメディカルトレーナーズスクール ベビーカレッジ講師、整体講師
整体の理論を基に赤ちゃんの成長過程のからだの仕組みから、ベビーマッサージをわかりやすく教えている。
卒業生を含めた生徒は1000人以上!
以下の4つのポイントに分けて、解説していきます。
赤ちゃんが便秘になりやすいのはいつ?
赤ちゃんは成長を通して、いくつか便秘になりやすい時期があります。具体的には以下の3つの時期が該当します。
- 新生児期
- 生後2~3ヶ月
- 離乳食を始める時期
それぞれについて詳しく見てみましょう。
新生児期
新生児期とは、生まれてから最初の1ヶ月間を指します。この時期の赤ちゃんは、主に母乳やミルクを飲むことで栄養を摂取します。しかし、新生児は基本的に寝ているか抱っこされている状態が多く、自分で動く機会が少ないため、運動不足となり便秘になりやすいのです。例えば、大人で考えると、運動をしないと腸の動きが鈍くなり便秘になりやすいのと同じ原理です。
また、母乳と市販のミルクでは、その成分が異なります。母乳は赤ちゃんの消化に適した成分で構成されていますが、市販のミルクは一部の赤ちゃんにとっては消化しにくい成分も含まれていることがあります。そのため、市販のミルクを主に飲んでいる赤ちゃんは、便秘になりやすい傾向にあります。
生後2~3ヵ月
生後2~3ヶ月という時期は、赤ちゃんの胃腸が発達し始める大切な時期です。この時期になると、大人と同じように食事を消化し、大便を腸内に溜める能力が身につきます。
しかし、この新たな体の機能がまだ完全には機能していないため、便秘になりやすいのです。具体的には、大便を溜める力はあるものの、それを適切に排出する力がまだ十分ではないため、便秘になりやすい状況が生まれます。
離乳食を始める時期
離乳食を始める時期とは、赤ちゃんが母乳やミルクだけでなく、固形食品を食べ始める時期を指します。この時期になると、赤ちゃんの消化器官は固形食品の消化という新たな挑戦に直面します。
しかし、消化器官の発達がまだ完全ではないため、固形食品の消化に苦労し、便秘になりやすいのです。また、固形食品を食べることで、便の硬さも変わります。これにより、便を排出する際の力がまだ十分ではない赤ちゃんは、便秘になりやすくなります。
赤ちゃんが便秘になっているサインとは
大人でも便秘になればストレスたまり気味になるくらいですから、赤ちゃんが便秘になれば機嫌が悪くなって夜泣きもひどくなります。
しかし、赤ちゃんは自分が便秘になっているということはわからないし、直接伝えることもできないのでまずは赤ちゃんが便秘になっているというサインを見抜くことが重要です。具体的なサインは以下のとおり。
- 機嫌が悪い
- 食事の摂取量が少ない・吐き出してしまう
- お腹が張っている
- ウンチをするのが苦しそう
- ウンチに血がついていたり、固くなっている
それぞれについて詳しく解説していきます。
機嫌が悪い
ミルクや食事をしっかりと与えていて、睡眠をとらせ、おむつ替えのケアなどもしっかりしているのに赤ちゃんが泣くことが多く、機嫌が悪そう。
そういった場合は、赤ちゃんが便秘になっている可能性があります。排泄が正常に行われていないので、当然不機嫌になります。
食事の摂取量が少ない・吐き出してしまう
便秘でおなかに大便が詰まっている場合、いつもより赤ちゃんの食事量も少なくなります。
熱があるわけでもないのに、食欲が減退していると感じたら便秘かもしれません。便秘で苦しんでいる場合は、ミルクや離乳食を吐き出してしまうこともあります。
お腹が張っている
一番外見からわかりやすいのは、下腹部の張りです。
数日ウンチが出ていなければ、わかりやすく赤ちゃんのお腹が張っているので、食後ではなく空腹時でチェックしてみましょう。
ウンチをするのが苦しそう
便秘の時は、赤ちゃんも大人と同じでウンチをするときにいきんで苦しそうな顔をします。
顔が赤くなっていたら要注意です。
ウンチに血がついていたり、固くなっている
赤ちゃんの便秘が心配であれば、排せつ物のチェックも必要です。
いつもよりも便が固めだったり、少しでも血がついていたら便秘の可能性大。固めのうんちを踏ん張って出すと、肛門が傷つき、血がつくことがあります。
即効で効果を実感!赤ちゃんの便秘を解消するベビーマッサージのやり方
赤ちゃんの便秘を解消してあげるマッサージはいくつかあるので、基礎的なところから解説していきます。
「の」の字のベビーマッサージ
まず、基本的なマッサージとして、大人でも有効なお腹を「の」の字でなぞるマッサージをしてあげましょう。
これで腸の便が詰まりやすい部分を刺激できます。
- まず赤ちゃんの服を脱がせ、全身を保湿してあげます※服は着たままでもいいです
- 手のひらを手の熱を伝えるように、そっとお腹に添えてください
- おへその少し下をスタート地点にし、大きな円を描くようにマッサージします
力を入れすぎないようにして、笑顔でやってあげてください。
ポイント
「の」の字をあまり大きくし過ぎないこと。赤ちゃんの腸はお腹の下半分にあります。赤ちゃんの腸をなぞるイメージでやってあげましょう。
赤ちゃんの足を動かすベビーマッサージ
赤ちゃんが便秘になりやすいのは、まだ歩けないことによる下半身の運動不足も原因です。
抱っこ紐のせいで、股関節が凝り固まっている場合もあるので、ほぐしてあげましょう。
- 赤ちゃんを仰向けに寝かせます
- 赤ちゃんの左右の足のひざ下部分を持ちます
- 片足ずつ、ゆっくりとお腹のほうに近づけるように動かします
目を合わせながら、「み~ぎ、ひだり!」と声をかけてあげるなど、コミュニケーションをとってあげると赤ちゃんもリラックスしてくれます。
赤ちゃんの背中をさするベビーマッサージ
人間の背中には脊椎があります。脊椎には、お腹側の臓器につながっている末梢神経が集まっています。
緊張や寒さなどで背中の筋肉が固まっていると、脳への神経伝達がうまくいかず、赤ちゃんの体が便秘だということを認識しづらくなってしまいます。
なので、背中の筋肉をほぐしてあげて神経の伝達を良くしてあげましょう。
- 赤ちゃんを抱っこして、自分の体にもたれさせます
- 背骨をなぞるようにさすります
- 尾骨のあたりも円を描くようにさすります
ちゃんと呼吸ができるように、赤ちゃんの顔を横に向けてあげましょう!
ベビーマッサージ以外の便秘解消法
ベビーマッサージ以外でも、便秘に効く手法はあります。主な方法は以下の2つ。
- 食事
- 浣腸
詳しく解説します。
食事
まず、離乳食を食べ始めるころは、母乳を飲んでいた時よりも水分不足になりがちなので、しっかりこまめに水分を摂らせてあげることを意識してください。
また、食物繊維の不足も便秘の原因になるので、離乳食で工夫をしましょう。リンゴをすりおろして片栗粉と混ぜた離乳食、ゆでたニンジンをすりつぶしたキャロットスープ、サツマイモやバナナ、乳酸菌の多いヨーグルトもいいです。
浣腸
浣腸も便秘解消に有効ですが、赤ちゃんはデリケートなので、注意が必要です。大人のように薬剤を使っては刺激が強いので、綿棒やこよりを使って、小さく刺激してあげましょう。
まず、綿棒やこよりの先端にベビーオイルを塗って、まず先端で肛門の周りを突っついてあげるだけでもうウンチが出る赤ちゃんもいます。
周りの刺激だけではダメな場合は、こよりは先端、綿棒はコットンの部分だけをゆっくり肛門に入れて、軽く出し入れしてあげましょう。
よくある質問
ここではベビーマッサージに関するよくある質問を集めました。ぜひ、参考にしてください。
Q. 赤ちゃんの便秘解消に即効性のあるベビーマッサージの方法はありますか?
ベビーマッサージの中でも、「腹部への時計回りのマッサージ」は便秘解消に即効性があるとされています。お腹のボタンを中心に、ゆっくりと時計回りに円を描くようにマッサージします。これにより腸の自然な動きを助け、便通を促進します。
Q.ベビーマッサージはどのくらいの時間、行えばよいですか?
ビーマッサージは、1回につき約10~15分が目安となります。しかし、これはあくまで一般的な目安であり、赤ちゃんの様子を見ながら適宜調整することが重要です。赤ちゃんが不快そうな様子を見せたらすぐに止めてあげましょう。赤ちゃんの気持ちを優先して、無理に長時間行わないように心掛けてください。
Q.ベビーマッサージはいつ頃から始めてよいですか?
ベビーマッサージを始めるタイミングについては、複数の意見がありますが、YMCでは赤ちゃんの首がしっかりとすわった時期、つまり生後3~4ヶ月頃から始めることを推奨しています。この時期からなら、赤ちゃんも自分の頭を支えることができ、安全にマッサージを行うことが可能です。
ただし、赤ちゃんの成長は個々に異なるため、具体的な開始時期は医師や助産師と相談しながら決めると良いでしょう。
まとめ 赤ちゃんの便秘はベビーマッサージで徐々に解消してあげよう
本記事のまとめです。
赤ちゃんの便秘は、珍しいことではなく、むしろ一般的です。消化器官が発達するまで4~5歳まで待つ必要もあるので、上記のベビーマッサージを試したり、ベビーリフレも効果的なので足裏をもみほぐすのも良いでしょう。
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