サロン業務は自宅でも行なえるため、開業を検討している方もいるのではないでしょうか。自宅サロンは、スペースが確保できれば比較的に低リスクで始められるとあって、近年人気の開業スタイルです。
とはいえ、しっかりとした準備なしに開業すれば、失敗してしまう可能性は高くなります。
そこで、本記事では自宅サロンの開業に必要なステップを5つに分けて解説。必要な費用の目安などもまとめました。開業準備の第一歩として、ぜひ参考にしてください。
自宅サロンの開業に必要な5ステップ
自宅サロンの開業に必要なステップは、大きく5つに分類できます。
- コンセプトを練る
- 開業資金を計算する
- 店舗作り・メニューを決める
- 必要な許可・届出を申請する
- 集客をする
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
ステップ①:コンセプトを練る
事業を始めるにあたり、「コンセプト」を決めておくことはとても重要です。コンセプトを決めておくことでお客さまはサロンの特徴をとらえやすくなり、言葉で表現しやすくなります。そうすることで、口コミでの拡散や集客効果が期待できます。
コンセプトを考える際のポイントは3つ。
- 誰に
- 何を
- どのように
この3つの質問に対して、分かりやすく伝えることができるのが理想です。
誰に
現代は、お客さまのニーズが多様化しています。なので、万人受けするサービスを提供することは困難です。そのため「誰に対してサービスを提供するのか」を明確にし、サービスの焦点を絞り込む必要があります。
以下の9つの要素を考えると、具体的なターゲットをイメージしやすくなります。
- 年齢
- 性別
- 世帯規模
- 所得
- 職業
- 学歴
- 住所
- 価値観
- ライフスタイル
何を
ターゲットが決まったら、お客さまが抱えている「不」を考えます。
「不」とは、「不安」「不満」「不都合」「不快」「不便」など、マイナス要因のこと。「不」の裏側には「こうなりたい」というお客さまの願望が隠れています。この「願望」を、あなたのサロンを利用することで「かなえてくれそう」という期待値を上げることが、マーケティングの基本になります。
どのように
「不」を絞り込めたら、「こうなりたい」というお客さまの願望を「どのように」導くか、その方法を整理します。
あなたのサービスが「なぜ、その願望を実現できるのか」について分かりやすく伝えましょう。自分がどのような強みを持っていて、その強みをどのようにお客さまの目標達成に活かしていけるのか、という視点で考えます。
顧客になりそうな人に「そんな商品やサービスがあったら、ぜひ利用したい」と思ってもらえれば、コンセプトメイクは成功です。
ステップ②:開業資金を計算する
コンセプトが決まったら、自宅サロンの開業に必要な費用を把握しましょう。必要な資金を可視化することで「ここはコストをかけよう」「反対にここは予算を抑えよう」といったことが可能になります。
アロマサロン開業に必要な項目と費用の目安は以下のとおり。
- 内装費:10~30万円
- 機材や設備の購入:30,000円~
- 備品・消耗品の購入:50,000円~
- 決済関連機器
- 広告費:0円~
それぞれの費用について、もう少し詳しく見てみましょう。
内装費
- 内装費:10~30万円程度
自宅をそのまま利用すると、どうしても生活感が出てしまいます。空間もサービスのひとつと考えれば、内装をリフォームする必要があります。
ただしテナントのリフォームのような大がかりなものは必要ないため、10~30万円程度ですむことが多いようです。
機材や設備の購入費
- 施術用ベッド:30,000円~
アロマサロンを開業する場合、最低限必要になってくるのは施術用ベッドです。
また、以下のアイテムは状況に応じて検討しましょう。
- 空調(エアコン、加湿器、空気清浄機)
- 洗濯機
- 電話
服を脱いで行う施術を提供する場合は、空調管理も欠かせません。エアコン、加湿器、空気清浄機など、必要に応じて購入しましょう。
また、お客さまが増えてくるとタオルの利用数が増えてきます。洗濯が追い付かないときは、大きな洗濯機などを買い替えましょう。
その他、お客さまからのご予約やお問い合わせを受ける電話をプライベートと分ける場合は、電話も準備しましょう。固定電話で2番号を持てるサービスもあるので、利用しているサービスに確認してみてください。
備品・消耗品の購入
- 備品・消耗品の購入:50,000円~
主な備品・消耗品は以下です。
- タオル・シーツ
- 紙ショーツ・紙ブラジャー
- スリッパ
- 椅子・テーブル
- キャビネット・ワゴン
- ご自身の施術着(白衣など)
上記はAmazonや楽天などで、誰でも購入できます。
また、一気にそろえる必要はありません。はじめは必要最低限のものをそろえ、徐々にそろえていけば大丈夫です。
決済関連機器
- 専用端末:5,000円~40,000円程度
- 決済手数料:4%前後
クレジット決済が導入できれば、支払い時の手間を減らせたり、お客さまも色々なメニューにトライしやすくなります。
最近はスマートフォンでクレジットカード決済が可能な「スマホ決済(モバイル決済)」が普及していますので、昔と比べると個人サロンでも導入は簡単です。
とはいえ、加入審査が必要であり、自宅サロンでも個人事業主である必要があるため、お店が軌道に乗ってから検討するでも遅くありません。
ステップ③:店舗作り・メニューを決める
具体的な店舗づくりに入っていきましょう。必要な項目は以下の5つです。
- サロンの名前を決める
- メニューを決める
- 料金を決める
- 営業日時を決める
- 空間づくり
詳しく見てみましょう。
サロンの名前を決める
サロンの名前はお店の象徴になるので、愛着の沸く名前にしましょう。とはいえ、名前を決める際のポイントもあります。
- 誰でも読める名前にする
- 覚えやすい名前にする
- 検索しやすい名前にする
- アロマサロンであることがわかる名前にする
- 名前や響きに変な意味がないかをチェックする
- 他のお店が商標登録をしていないかを確認する
また、昨今はWeb集客が主となることが多いため、サロン名を考える際は「インターネット検索」を意識する必要があります。
「サロン名はおしゃれに横文字で表記したい」と希望する方が多いですが、お客さまのほとんどは検索する際に「カタカナ」で検索します。そのため、「ヴィ」と「ビ」、「ジ」と「ヂ」など、間違いやすい文字が含まれるサロン名は、不利になる場合があります。
多くの人が間違いなくカタカナ読みできるサロン名を意識しましょう。
メニューを決める
メニューを考える際は、少なくても以下の2種類を用意しておきましょう。
- フロントエンド
- バックエンド
「フロントエンド」とは、集客するためのサービス。「バックエンド」とは、利益をだすためのサービス。サロンでは、「フロントエンド」→「バックエンド」で提案するのがセオリーです。
また、フロントエンドでは絶対的な自身があり、満足度の高い内容にしておきましょう。合わせて「問診票」も作成しておきます。
料金を決める
価格を決める際に、よくやってしまう失敗例は以下の3つ。
- 自分だったらいくら払うかな
- こんな金額受け取っていいのかな
- 相場ってこれくらいよね
どれも価格を低めに設定してしまう間違いです。
お客さまの立場で考えすぎると、「安い方がうれしい」という思考が働いてしまいます。また、お金のブロックがある人も「こんな金額受け取っていいのかしら…」と価格を低めに設定しがちです。また、周辺エリアの値段をみて、「他所よりも少し安く設定してしまう」というのもよくありません。
大事なことは、サロンを維持継続するために必要な「顧客単価」を割り出し、その金額にサービスレベルを合わせていきましょう。
営業日時を決める
自宅サロンといっても、営業日・営業時間は決めましょう。理由は2つです。
- 不定休は、実は不親切
- 自分も予定が立てやすい
定休日を作ってしまうと「来てくれるお客さまが減ってしまいそう…」と考えるかもしれませんが、実は「不定休」と書かれる方が不親切な場合もあります。自分都合で休みを自由に設定していると、お客さまからは「今日はやってるかな?」となり、スケジュールが立てにくいです。
また、自宅サロンの場合は家族の協力が必要になりますので、定休日をつくることで「家族優先の日」を設定できます。自宅サロンを長く運営するには、「家族との時間」をしっかり確保できる工夫をしていきましょう。
空間づくり
空間づくりに悩んだら、プロに相談してみるのもいいでしょう。世の中には「自宅サロン専門のインテリアコーディネーター」という方もいるので、興味があれば一度相談してみましょう。
≫ 参考:STORY+DESIGN「自宅サロンインテリアコーディネート コースと料金」
ステップ④:必要な許可・届出を申請する
エステサロンや美容室とは違い、アロマサロンの開業に必要な届け出は「開業届」のみです。
開業届は原則、開業した日から1か月以内に税務署に提出するよう定められています(所得税法229条)。また、書類は国税庁のホームページからダウンロードできます。
実はこの開業届、提出しなくても罰則規定はありません。
開業届を提出するメリット
罰則がないからと言って、開業届を提出しないでいると損する場合があります。
開業届を提出することで得られるメリットは以下の5つ。
- 節税効果の高い青色申告が行える
- 赤字は3年繰り越すこせる
- 小規模企業共済に申し込める
- 働いている証明になる
- 屋号で口座が作れる
開業届を提出することで、節税効果の高い「青色申告」ができるようになります。
また、小さいお子様がいて保育園などに預ける場合は、「開業届」が証明書として使えます。
ステップ⑤:集客をする
集客方法についてはいろいろありますが、「自宅サロン開業時」に絞って紹介すると最低限以下のアイテムを準備しておきましょう。
- ロゴ
- チラシ・パンフレット
- ホームページ
- ブログ
- SNS(Instagramなど)
- 看板
- 名刺
- 紹介カード
自宅サロンについてお客さまが抱いているイメージは「自宅サロンは怖い」ということ。そのイメージを払しょくするには、
- サロンの店内の様子が分かる
- 施術するオーナーはどんな人か分かる
- いつ営業してるのか分かる
といった点に考慮して情報発信していくことが大事です。
自宅サロンを開業するなら、保険加入も大事
サロン運営をするなら、トラブルについて準備しておくことも必要です。時には損害賠償に発展するケースも。お客さまを守るだけでなく、あなた自身を守るためにも保険には加入しておきましょう。
おすすめは一般社団法人国際ホリスティックセラピ協会が提供する「IHTA 賠償責任保険」です。
YMCメディカルトレーナーズスクールは、この一般社団法人国際ホリスティックセラピー協会の認定校として活動しいるので、YMCで学んだ手技で起こった事故については、この保険でカバーできます。
※協会会員であることが条件となります。
主な補償内容は以下のとおり。
補償内容
施術中に起こった対人における賠償責任。施設所有者は対人対物における賠償責任。
保険料
年会費:15000円
※一般社団法人国際ホリスティックセラピー協会の年会費に含まれる
給付金
賠償責任(対人)
支払限度額 1000万円 免責 3万円
施設賠償責任保険(対人・対物共通)
支払限度額 5000万円 免責 なし
訴訟対応費用 支払限度額 1000万円 免責 なし
提供団体
一般社団法人 国際ホリスティックセラピー協会(IHTA)
まとめ
自宅でサロンを開業する場合、店舗を借りる場合と比べて費用を大幅に抑えられるのがメリット。そのため赤字になりにくく、黒字に乗せやすいのが特徴です。
とはいえ、準備を怠っては失敗する可能性も高くなります。本記事で紹介した開業に向けての準備をしっかり行い、お客さまに喜ばれるサロンづくりを目指してください。
また、YMCメディカルトレーナーズスクールでは自宅サロンとして人気の高い「アロマセラピスト」を育成する講座を開催しています。
気になる方は、ぜひ無料の資料請求で情報収集してください。