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2020.02.20

高尾美穂インタビュー|変化を受け入れ、豊かに年を重ねていく。

高尾美穂インタビュー|変化を受け入れ、豊かに年を重ねていく。

(注*本記事は2016年10月のIHTA会報誌で公開された記事を再編集したものです。)

こんにちは、YMCスタッフです。

産婦人科医、スポーツドクター、ヨガ指導者、そしてIHTA(一般社団法人 国際ホリスティックセラピー協会)顧問。

そんな輝かしい肩書きをお持ちの高尾美穂先生に「変化を受け入れ、豊かに年を重ねていく(ウェルエイジング)」をテーマにインタビューさせていただきました。

高穂美穂(たかお・みほ)

産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター・IHTA(一般社団法人 国際ホリスティックセラピー協会)顧問。
東京慈恵会医科大学大学院修了後、慈恵医大病院 産婦人科助教、東京労災病院 女性総合外来などを経て現在イーク表参道 副院長を務める。
株式会社ドーム(アンダーアーマー)アドバイザーリードクター。
文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー。
趣味のヨガではIYC アシュタンガヨガプライマリーシリーズ指導者養成修了・IYC アスリートヨガ指導者養成修了・日本マタニティヨーガ協会マタニティヨーガ指導資格などを持つ。
ミドルエイジに向けたヨガプログラム IYCウェルエイジングヨガ 特別監修担当。

“いいとこどり”をすればいい

“いいとこどり”をすればいい

イーク表参道で副院長として勤務する傍ら、スポーツドクターとしても女性アスリートの支援活動に従事されている高尾美穂先生。
さらに、ご趣味であるヨガでは当IHTAの顧問であるケン・ハラクマ氏に師事されているそうですね。
毎日プラクティスを欠かさず、クラスを主宰したりプログラムを監修したりと精力的にご活動されていらっしゃるとお伺いしています。

小さい頃からスポーツ少女で、ソフトボールやテニス、乗馬、スキーなどこれまで色んな運動をしてきました。

大学院生の頃、自転車に乗っていて転倒し、靭帯を傷めてしまいました。

それまで運動にあてていた時間がぽっかり空いてしまい、「ヨガでもやってみようか」という軽い気持ちで参加したのが最初です。

そのクラスがたまたまアシュタンガヨガという、ヨガの中でもハードなタイプだったのです。

運動が得意だと思っていた私でもびっくりするようなポーズを、生徒さんが楽々とこなしているのを見て負けず嫌いな心に火がつきました。

「あのポーズをできるようになりたい!」と、病院での当直の合間、廊下にヨガマットを敷いて練習するほどのめり込みました。

ケン先生のリトリート(ヨガ合宿)によく参加したのもこの頃です。

2016年1月からIHTAの顧問にご就任なさったそうですね。

はい、ケン先生が顧問を務めていらっしゃるIHTAとはどんな協会なのだろうと、以前から興味を持っていました。

西洋医は、『ホリスティック』という言葉に懐疑的な印象を持ちがちです。

でもケン先生から話を聞いたり自分でも調べたりするうちに、現代人の健康に様々な角度からアプローチしている信頼できる団体だと知りました。

さらにIHTA認定校のYMCメディカルトレーナーズスクールのヨガの先生と知り合ったご縁もあって、今回、顧問に就任させていただきました。

西洋医の高尾先生から見て、ヨガは健康に役立つとお考えですか?

大学病院時代には卵巣がんを専門に研究するなどバリバリの西洋医として歩んできましたが、趣味としてやっているヨガが女性のからだにいい影響を与えるという感覚はずっと感じていました。

世の中には、生理痛に効くポーズだとか、肩こりに効くポーズだとか言われているポーズが色々ありますよね。

実際にからだが楽になったという女性もたくさんいらっしゃり、医学では完璧に説明できない効果が存在することは確かだと思っています

一方で、西洋医として正さなければならない部分も見えてきました

そもそも100人いるとして100人全ての人に必ず効くポーズなんてありません。

また、ヨガを続けていると極端な自然志向になり、医療のお世話にはならないといった考えに傾きがちですが、それはもったいないことだと思います。

500年かけて進歩してきた西洋医学の良いところは十分に享受させてもらいながら、ヨガも活用する。ぜひ、両方の“いいとこどり”をしていただきたいです。

女性の健康のカギは「骨」と「血管」

先生が担当するヨガのインストラクター養成クラスやIHTAのセミナーでは、「女性の体にかかわる人」に向けた内容を積極的に展開なさっていますね。

女性のからだはホルモンの影響によりダイナミックに変化していきます

たとえば一番大きな変化のタイミングは50歳前後の更年期。40〜60歳の頃をどう上手に乗り越えるかは、その後の人生に大きく影響します。

しかしこの時期にどんなことが起き、何をすればいいのかをちゃんと知っている人はほとんどいません。

女性のからだに接する職業にある運動指導者や整体師、あるいは医療者でさえ詳しくない人がたくさんいます。

そもそも女性のからだの変化やホルモンについて学ぶ機会が、現代人にはほとんど与えられていません

小学生の頃に男女分けられ、女子だけ生理用品をポンと渡され簡単な説明をされて終わり。

聞いた話では、ある女子体育大学のカリキュラムでからだについて学ぶのはたったの1コマだけだそうです。

多くの人たちに女性のからだについて正しく知ってほしいと願い、クラスやセミナーで熱くお話をしています。

高齢化が進む中、「健康寿命」に注目が集まっています。女性の健康について教えてください。

健康寿命とは、自分で食事ができ、歩けて、周りの人とコミュニケーションが取れる状態でいられる年齢のことです。

日本の女性の平均寿命と健康寿命の差は今のところ13年です。つまり13年間は、本人にとって満足な時間ではないということ。

そこで、健康寿命を延ばすために大事なのが「骨」と「血管」です。

骨がもろくなると骨折しやすくなり、それが寝たきりのきっかけにもなります。

特に大腿骨の上部を骨折すると、その後の5年生存率に有意な差が出ると言われています。

女性の骨の健康には女性ホルモンであるエストロゲンが大きく関与しており、女性は閉経によってエストロゲンの分泌が急激に減少することで閉経後、骨粗鬆症になるリスクが一気に高まるのです。

骨量のピークは実は15〜20歳前後。この時期にバランスのとれた食事をすること、ちゃんと生理があること(エストロゲンが分泌されていること)、無理なダイエットをしないことが非常に重要です。

フィギュアや新体操などのアスリートは、体重が軽い方が競技に有利に働くため、競技を続ける間も将来的にも骨の健康を損なう人が少なくありません。

全ての女性が早くから知っておきたい知識ですね。血管はいかがでしょうか?

健康な血管はゴムホースのように弾力のある状態です。

この弾力を保つために、やはりエストロゲンが必要なのです。

エストロゲンが減少すると悪玉コレステロールの数値が上昇し、血管の内壁にプラークが付着して内腔が狭く、硬くなっていきます。

この鉄パイプのような血管(動脈硬化)に血液がどっと流れ込んできたらどうでしょう?

脳卒中や心筋梗塞、日本人の死因の上位を占めるこれらの病気は、血管の問題からきているのです。

女性が健康に年を重ねられるかどうかは、骨と血管が握っていると言ってもいいでしょう。

正しい知識を身につけ、日々の小さな選択を丁寧に

正しい知識を身につけ、日々の小さな選択を丁寧に

高尾先生は文部科学省・国立スポーツ科学センターの女性アスリート支援プロジェクトにもスポーツドクターとして携わっていらっしゃいます。
そちらでもこのようなお話をされているのですか?

はい、成長期における医・科学サポートプログラム、妊娠期、産前・産後期、子育て期におけるトレーニングサポートプログラムなどを担当しています。

過酷なトレーニングや体重の極端なコントロール、過度のストレスなどにより、女性アスリートの中には生理トラブルに悩まされている人が少なくありません。

また、骨粗鬆症や妊孕性の低下など、引退後の人生で体の不調と付き合っていくことになる人もたくさんいます。

以前は女性のからだに関することは耳学問程度で、先輩アスリートやコーチに相談しても「私もそうだったから」と言われ、そのままになってしまうことも珍しくなかったようです。

生理がこないのは問題であるという基本的なことから、オリンピックの日に生理が重ならないよう低用量ピルで安全にコントロールする方法や、1ヶ月間の月経周期の中で自分のパフォーマンスの変化を把握した上でトレーニングプログラムを組むことなど、女性のからだに関する正しい知識をアスリート本人、そしてアスリートを育てる立場にある人たちに伝えています。

正しい知識を身につけること、これは男女問わず全ての人に共通して大切なことですね。

世の中にはたくさんの情報があふれています。

その中から自分で正しいものを取捨選択していくことが必要です。

残念ながら、ヨガや整体に関する知識でも間違ったものがまかり通っていることが少なくありません

詳しくは私のセミナーでお話しさせていただくとして(笑)、情報に対しては常に“前向きに疑う姿勢”を大切にしてほしいと思っています。

いつ誰が発信したものなのか、信憑性はあるのか……。

書籍やセミナーで知識をインプットしたら、それをそのままアウトプットするのではなくて、他の方法でさらに調べ、理解、咀嚼することで初めて自分のものにできるのだと思います。

そういった意味で常に学び続けることが大切ですね。

科学的な手順を踏んで立証された西洋医学をはなから否定する必要もないと思いますし、西洋医学でカバーしきれない部分はヨガや整体、カイロプラクティック、鍼、アロマテラピー、アーユルヴェーダなどで補えばいいのではないでしょうか。

アメリカで「代替医療」という言い方から「補完医療」へと言い換えられてきているように、西洋医学とそれ以外の方法は相反するものでも取って代わるものでもなく、補い合うものだと思うのです。

それでは最後に、会員の方へのメッセージをお聞かせください。

私の願いは、全ての女性がご自身の望む人生を送ること

女性には、モノトーンをカラフルにするような楽しくパワフルな力が備わっています。

いつかは「男女が均等に」ではなく、「男女関係なく」活躍できる社会が理想ですね。

そのために、産婦人科医として、スポーツドクターとして、そして一人のyoginiとして、正しい知識を発信し続けたいと思っています。

アンチエイジングも大事ですが、私は「ウェルエイジング」という言葉が好き

前向きに変化を受け入れ、より良く歳を重ねていけたら最高ですよね。人は1日の生活の中で何千もの選択をつみ重ねて生きているそうです。

階段を使うのかエレベーターにするのか、からだに良いものを手作りするのか、時間がないからコンビニで選ぶのか。

そんな小さな選択を無理のない範囲で一つひとつ丁寧に行うことが、将来の健康につながるはず。

そう思っています。みなさんが「ウェルエイジング」を実現できるよう応援しています。

 

執筆者 :YMCスタッフ
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