清水忍インタビュー|指導力。相手を理解し、寄り添う力

自分の当たり前は相手の当たり前ではない。それを完全に理解したうえで相手に接しているトレーナーやインストラクターがどれほどいるだろうか?

IHTA特別アドバイザーであり、都内でパーソナルトレーニングジムを営む清水忍先生はまさしくその一人。

紆余曲折の道のりを経て清水先生が手に入れたのは、すべてのトレーナー/インストラクターに必要な“伝える力”でした。

今回は「指導力」をテーマに、相手を理解し、寄り添う力についてインタビューした内容をお届けします。

清水忍(しみず・しのぶ)

パーソナルトレーニングジム「INSTRUCTIONS」代表。
パーソナルトレーナーとしてプロ野球選手や力士などのトレーニング指導を行う一方、健康保険組合での研修や企業での健康プログラム作成、各専門学校での講義など、主に教育研修を軸として活動。
雑誌「Tarzan」やテレビなどの出演も多数。
IHTA特別アドバイザーでもあり、YMCの各スクールでの指導実績も豊富。
他業種での経験も多いことから、運動をしない人の気持ちを自分ごととして理解。「やる気になる指導」「理解し易い指導」を心がけ、後進の教育においても「伝える能力」を高めることに重点を置く。
講師として輩出してきたトレーナーの人数は2000人にも及ぶ。

「トレーナー」と「普通の人」の両方を経験

「トレーナー」と「普通の人」の両方を経験

清水先生がトレーナーになった経緯を教えてください。

筋トレが大好きで、学生時代にジムでアルバイトを始めたのが最初です。

その後就職活動をしていて、第一希望だったマスコミと並行してなんとなく受けたフィットネスクラブの面接で、トレーニングについていくらでも語れる自分に気が付きました。

本当に自分がしたいことってコレなんじゃないかと思い、そこに就職することに。

 

ところがトレーナーとしての立場ではなく管理側の部署に配属されてしまい、やりたいことと違うと思い3年ほどで退職。その後は不動産営業の仕事に就きました。

自分自身に原因があったのですが、今思えば、当時は思慮不足で辛抱できなかったのです。

 

不動産営業の時も、やはり筋トレは欠かさず?

いえ、実はこの経験が私の大きなターニングポイントになったと思っていて、まったく運動しなかったのです。

人は環境に左右されると言いますが、周りに誰も運動している人がおらず自分もだんだんそうなっていった。

100m先のコンビニに行くのにも車に乗るような生活をしていました。当

然のように体重は大幅に増え、筋肉も落ち、体力も低下。周囲には糖尿病を患っていた人もいて、このままではマズイと思い目が覚めました。

 

退職して実家の事業を少し手伝った後、人生再スタートのつもりで近所のジムの時給800円のアルバイトインストラクターに。34歳の時のことです。

半年で新入社員研修を任せられるようになりましたが依然としてアルバイトのまま。

1年半くらい経ったところで知り合いから「能力の安売りをするな」と諭され、スポーツトレーナー養成スクールの常勤講師の職を紹介されました。

 

まさに水を得た魚のようですね。
それからは指導の道をまっしぐらでしょうか?

講師業は高く評価していただいて6〜7年ほど続けたのですが、スケジュール上トレーナーとしての依頼に応えられないことが気がかりで、思い切ってフリーとして独立しました。

現在のパーソナルトレーニングジム「INSTRUCTIONS」を始めたのは2014年、フリーになって6年後くらいのことです。

 

「相手」ありきの存在

「相手」ありきの存在

「INSTRUCTIONS」ではトレーニング指導のほか、トレーナーのレベルアップゼミ「清水塾」も開講していらっしゃいますね。

「トレーナーの世界」と「一般の人の世界」に大きく意識の隔たりがあることがわかったからです。

トレーナーは基本的に筋トレが大好きな人ばかりですが、一般の人は普通そんなに運動なんてしない。

そもそも体を動かすことが好きじゃない人も多いのです。

その人たちに筋トレマニアのトレーナーが正論を振りかざしても意味がありません。

教え方・説明の仕方にも工夫が必要だと常勤講師をしていた時からずっと感じていました。

トレーナーは「筋トレ大好き」だけでは務まらない。相手の常識を理解し、指導能力を養うことが欠かせません。

 

トレーナーに必要な要素は具体的にどのようなことでしょうか?

私が目指しているのは「あなたに教えてもらうのが一番わかりやすい」「やる気になった」と言ってもらえるトレーナーを育てること。

どのようなジャンルにおいてもトレーナーやインストラクターを名乗る人たちには“サービス業”という自覚が必要だと思います。

 

自分と相手の熱意が同じとは限らない。

目の前の「人」を、その人が望む姿にどう変えてあげられるか。

また、「知識がないから上手に教えられない」と嘆く人もいますが、大事なのは今自分が持っている知識を相手にどれくらいわかりやすく教えられるか。

どう説明すれば理解してくれるのか、どう話せば伝わるのか。

そのための思考と工夫を怠らないでほしいと思います。

 

「清水塾」ではどのようなお話をされていますか?

レベルアップゼミなので、トレーナー本人がより深く体系的な知識を身につけられるような方向へ導くようにしています。

たとえば「質問の答えは3階層分用意する」「『傷めます』という言葉を使わないように」と話しています。

「傷めます」というのは都合のいい言葉ですが、理由も解決方法も含まれていないのでお客様を納得させられない。

 

「この動きをすると〜だから〜になってしまう。そうならないように〜しましょう」くらいの、3階層程度の情報量は必要です。

お客様から質問を受けた時、その答えに対してさらに質問をされ、さらにその答えに対して質問されても答えられるくらいは勉強しておきましょう、と。

それを習慣にすれば自然と知識も膨大かつ体系的にストックされていきますし、「答える」ということが念頭に置かれることで伝え方・話し方も意識するようになります。

 

「楽しい」から「やる気」が生まれる

YMCのスクールで講義をされていたご縁でIHTA発足当時から関わっていらっしゃるそうですね。

現在も不定期でセミナーやレッスン、プログラムの開発と監修に携わっています。

ヨガや整体も人の身体を扱うという点ではスポーツトレーナーと共通。

生理学や解剖学はもちろん、カテゴリを越えた「人の身体と向き合う」意識を養ってもらいたい。

 

IHTAでは健康に関する幅広いジャンルが揃っていますから「ここに来てもらえれば健康に関してすべて対応できる」と言えるほどの総合力がある。

ここで学び身につけることは必ず誰かの役に立つことです。

おおいに学び、技術を身につけ、社会に大きく貢献できる人材になって欲しいです。

 

健康長寿社会の実現に向けて、IHTAや清水先生ができることは何でしょうか?

健康のために運動は欠かせません。運動に興味のない普通の人たちへ気軽な運動の場と機会を提供していきたい。

「将来寝たきりになりたくない、人に迷惑をかけたくない」というネガティブな理由ではなく、「楽しい」というポジティブな理由で動機付けをしてあげることがポイントです。

まずは運動の場へ行って経験してもらうこと。前回より少しでも上達・前進したという達成感や有能感を得ることでどんどん楽しくやる気になっていきます。

 

糖尿病患者会のウォーキング講習会の指導では「ウォーキングなんてしなくても日常生活が早足になればじゅうぶん」と伝えています。

義務感があると人は辛くなる。

治療やケアの予防として歩くことを苦にしない人を増やしたいと思っています。

それ以上はスポーツ選手や筋トレ目的の場合の趣味の領域ですから(笑)。

 

最後に、会員の方へのメッセージをお聞かせください。

WHOの健康の定義に「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」とあります。

身体の健康だけでなく、心と自分の置かれている環境の整備をすることが大事でしょう。

社会に自分の居場所があり、貢献できているという感覚。

これがあれば人は幸せでいられると思う。みなさんが相手の健康をサポートし役に立てているという手応えを感じられるよう応援しています。

 

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執筆者 :YMCスタッフ
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